『きをつけてね』制作メモ②撮影突入

つづき。

深夜までの撮影部と監督、助監督との打ち合わせを経て2時間後、僕は朝一番に集まる俳優陣をお迎えに行った。
撮影部と監督がロケ場所で準備しているあいだに
支度部屋(といっても監督の自宅)で衣裳替えをし、
撮影場所へ赴く。


演出助手さんに俳優陣への日焼け止めを促し、すっかり自分が日焼け止めをするのを
忘れて次撮影現場のチェックと、第2弾で集まる俳優部をお迎えに歩く。
彼らをお出迎えするころには次撮影場所(文房具店店舗を借りての撮影)での撮影も完了しているはずだが、
粘る現場と来客の為、時間は1時間押している。
先に待っている俳優部に弁当を食べさせて。待つ。
お店での撮影完了。
忘れ物はないか。壊したものはないか。お店の人とチェックして、お礼を告げて皆を次撮影現場へ送る。


この時点で14時ごろ。今日は19時までにはなんとか今日撮影分を終わらせなければならない。
しかも、車輛を使ったり、アクションシーンが満載。集中して車止めだ。
このころ、前途した日焼け止め忘れのせいで、僕の腕はこんがり焼き上がりつつあった。


撮影は粘りながらも確実にこなされていく。のこり30分で日は落ちる。あと少しで撮り終わる。
と、ここでお巡りさんが登場。アクションシーンを見かねた方が110番したようだ。先日の日記で書いたように
道路使用許可を持っていたので、慎ましくみせて、大声あげていたのをお詫びする。お巡りさんも粛々と業務をこなし
「あと30分くらいでしたら、まぁ大丈夫でしょう。あまり迷惑にならないように」
といいかけたところで別の近隣の方が怒鳴り込んできた。
理由はやはり我々の撮影で、怒鳴る原因はただひとつ「うるさい」ということなのだが、形相が尋常ではない。
とにかく謝罪する僕。今にも暴れ出しそうな近隣の方にお巡りさんも何故かこちら側についてしまう形に。
そのクッションのおかげでなんとか誰も怪我をせずに済んだ。


運もあるのだが道路使用許可に助けられた。
撮影終了後、そう思っていたのだが、やはり撮影前に近隣の皆さんにご挨拶に行くべきだった。のだ。
それでダメと言われてもこちらには許可証もある。とお願いもできた。
撮影スタッフや俳優に危害はなかったが、他はどうだろうか?
あの近隣の方は後ほど怒りのあまりに拳を何かにぶつけたりしてはいないだろうか?
もし怒鳴り込む途中で車に跳ねられていたら?
詰めの甘さを痛感する日であった。じりじりと二の腕は痛み。
妻にしかられ、冷えピタを貼付けたのちに、撮影部さんたちを交えて中打ち上げと打ち合わせ。
撮影終了後に皆さんに謝ったとき、誰もが優しかった。
駐輪場のおじさんは充電のためにコンセントをかしてくださった。
無事進んだのだから、無事終わらせなければ。
明日は屋外シーンは少ないが、今日の撮影分量の5倍はあるぞ。

つづく。