わらうのかわらわないのか

渋谷オーディオトリウムで開催されているキノ・トライブ2011という映画祭に行って来た。


『ゆれもせで』で主演していただいた神農幸さんが出演されている『UBIQUITOUS』(渡辺裕子監督)と『永遠に君を愛す』(濱口竜介監督)の中編2作品を観た。


どちらも深刻な状況の中でもがく夫婦(夫婦になりかけ?)を描いていて、だいたいにおいてそういう映画は男性の情けなさが鍵になるのだけど、両作品とも女性独特の固執というか我が儘が鍵になっていたのがふしぎ。と思っていたら、脚本はどちらも渡辺裕子さん。



その女性描写はグロくもなく、腹立たしいわけでもない。『UBIQUITOUS』では神農さんの持っている独特な佇まいを巧く利用し、危うさとかわいらしさを持った妻(というより娘のように見えた)の姿にお客さんがにやにやしていたのがよくわかった。
『永遠に君を愛す』では、もう登場人物全員が阿呆で。中盤からは爆笑であった。


お客さんの反応は完全に良質なコメディ映画を観た感じになっていたのだ。しかし、どうも両作品の制作サイドはそういうベクトルを目指していないのだろうな。というような感触があり、「あれ?どう観たらいいんだろう?」という反応もあったのも確かである。
『UBIQUITOUS』は前半の痛み描写などがある程度活きてきてはいるが、


『永遠に君を愛す』では、前半は全く別の映画を観ているような気分であった。
妻になる女性の浮気を知っていたことを結婚式場で暴露してしまい「淫乱じゃないです!」と親族に言って回ったりする場面があり、不思議な説得力で現実を突破する脚本だっただけにちょっと勿体ないな。とも思った。

キノ・トライブ2011まだまだあるので、是非是非。
http://a-shibuya.jp/archives/1268