さいせい
CO2東京上映展にて『スクラップ・ファミリー』(加治屋彰人・監督)を観た。
ホームレスを殺した姉、リアルドールに亡き妻を投影する祖父、饒舌だが世間体しか気にしない母、面倒を無視して過ごす父・・・。
なるほど、こんな家族の中で育てばまさにガラクタな一家、いや、世界だな。と、
自立も目指すだろう。
その通りに弟くんはガラクタな家族の再生ではなく、脱出を試みる。
それでも、おじいちゃんの奇妙な優しさ、姉との魂の共鳴は捨てられずに、
ガラクタと共にガラクタな世界を突破しようとするその様は、とても清々しい。
何よりも加治屋監督の現実には様々な枷があって突破できないことをフィクションという盾で突破してやるという意気込みが気持ちいい。
未だ「適切な距離」は観ていないのだけど、これまでのCO2作品の中でこの意気込みが一番強く感じられたし、映画の持つ娯楽性というのはこの突破感無くしては味あわせることが出来ないと思う。
ただ、何かが足りないような・・・。この映画にはストーリーにはある陰と謎があるのだけれど、それをグッと引き立てる何か・・・。と思いながら観ていた。
上映後、加治屋監督が映画の主題歌を唄ったひとたちと踊っていた。
正直、僕はあんまり好きな歌じゃないのだけど、その楽しさにぐいぐい引き込まれる。
踊る加治屋くんを観て、ふと感じた。
ああ、これでこの映画は完結したのか。監督が踊って完結したんだ。と。
ヨモスガラブフィルムスのキムラくんが「ミュージカルでもよかったかも」と
云っていた。
現実にはこうだ。というフィクションという盾が枷になっていたのかもしれない。
これを槍に持ち帰れば、もっともっと突破できたのかもしれない。
8月4日にも上映あるので、是非是非。