かわいいとピンチとたのしい

CO2東京上映展『新世界の夜明け』(リム・カーワイ監督)を観た。


夜明けなだけに、夜の映画なのだが、登場人物全てがかわいらしく、ハレの映画だった。
冒頭はなんとまさかの北京ロケで、主人公の女の子ココが日本にやってくるまでの背景を
丁寧に説明してくれる。が、このココの魅力を強めるためにはこの背景を隠してもよかったのかも。
というか隠して欲しかっただけなのだが。とてもキュートなので、そこにどういう人と付合っているんだろう?
という興味が加わればもっと魅力が溢れたとおもう。


北京で暮らすお金持ちの彼氏を持つココが大阪は新世界にやって来て、起こる騒動を中心に描いた作品なのだが、
前途の通り、登場人物全員が可愛いのが仇になったのか、緩急の急がゆるゆるだった。ピンチがピンチじゃないのだ。
監督さん曰く、「たのしくやりたかった」とのこと。確かに楽しい。みんないい人なんだもの。
ゲゲゲの鬼太郎』を観ていた幼少のころ「どうしてねずみ男は仲良くできんのだろう?」と思っていたあの苦しみ
を解消していて、楽しい。のだが、それならもっとド派手にいい人ばかりを出しても良かったのかも。
垣間みれる新世界の暗黒面が中途半端に緩さを締めるのが残念だった。


それにしても、出演者皆さんがかわいらしい。
学校に通いながらもスナックで働く中国人の女の子、成金のヤクザ崩れの同級生、外国人嫌いのお父ちゃん・・・。
佇まいからキュートさを感じさせる。
中盤から物語の鍵となる、日本語も中国語も話せる男の子光明くん。このコがめっちゃかわいい。
どこがというか存在がもう、かわいいのだ。


トークショーにて監督曰く「知り合いのプロデューサーの息子さんで、すごくかわいいので、出てもらった」と言っていた。
人間のハレの部分を独特な視点で掴んで引っ張って来れるひとなんだろうなあ。
そのまま使うのではなく、ぎゅっと引っ張って、画面の中で開かせる。
これって並大抵のことじゃない。
それだけに急を急とするか、緩とするか、ぱきっと変わった新世界を観たかったな。

8月2日にもあるので、是非是非。
http://co2-tokyo-2011.jimdo.com/%E4%B8%8A%E6%98%A0%E4%BD%9C%E5%93%81/