ノーカントリー

色々映画を見たので、すこしずつ感想を。

ノーカントリー

映画にひきずり込むというのは、こういうことだろう。いろんな準備を見せて、どう殺戮が胎動していくのかを音楽などで演出するのではなく、人物を活写することでのみ描く。そこにはテーマや社会的な物言いなんかは皆無で、実際の僕らの生活というのも映画の中にあるテーマなんかに沿って流れているものではなく、こんなぐにゃぐにゃな流れの中でわけもわからず生きているのである。
そんな生き物だからこそ、執拗な殺し屋から、どこまでも逃げてやろうとする男に言葉にできない感動を覚える。そしてその結末も唐突に、ぐにゃぐにゃに締めくくられるのだ。エンドロールが怖くて、劇場を駆け抜けて出てしまった。逆ファーゴだ。