『ゾンビさん』

 「ランド・オブ・ザ・デッド」について。(ジョージ御大についての講釈は5月5日の日記参照)
 
 例によってお話を追っての感想です。ネタバレ注意!!

 オープニング。ユニバーサルのロゴが古めかしいのがいい感じ。ざっと今までの三部作の流れをモノローグで説明するシーンが始まるのだが、正直これはいらん。『ゾンビ』のときのような衝撃的なオープニングがいい。まあここはジョージさんがハリウッドに迎合したのかもしれんな。

 富豪達のためにゾンビだらけの街へ食料調達をする、特殊部隊。ジョン・レグイザモ演じるチョロは中々いい味出てる。花火を打ち上げて、ゾンビがそれを凝視してる間に、突入する。というアイデアは面白い。さらに、なんと仲間ゾンビを助けようとするゾンビがいるではないか。これが今回のキーとなる、「まなぶくんゾンビ」だ。

 このゾンビのメイク。特に僕は目に加工するのが嫌いだ。中学生の時に見た『ゾンビ』で何よりも恐かったのはゾンビたちの目であった。予算と技術不足だろうが、あの無加工で無機質な虚ろな目は異様そのものだ。

 今回はゾンビが「自我」に目覚め、人間に復讐心をたぎらすのが主軸になっている故に「ゾンビ側」の悲哀が深まるはずかと思ったのにあくまで画面の中にしかあり得なさそうなゾンビには感情移入できないのが残念。

 川に挟まれた都市で生活する人々。高圧電流のフェンスを張り、中心の高層ビルで悠々自適に生活するセレブさんたち。そのセレブに雇われた兵隊などに高圧されながらも地を這うような生活をする貧しい人々(お金があっても人種でしっかり差別されちゃってるのが、チョロ。かわいそう)この舞台設定はまさしくマンガ『東京ゾンビ』である。が、あの作品自体ジョージ様へのアンサーマンガだから、それはそれでいいのでは?

 そのビルを支配するのがデニス・ホッパー演じるカウフマン(だったかな?)アクが抜けすぎて、面白くないですね。どちらかというと、チョロみたいな役がお似合いなのに。

 主人公の親友チャーリーはいい味出てる。今回はキャラ立ちがよくできてますな。アーシア・アルジェントも美しいし。

 なんか話しを追うのがしんどくなりました。テンポはかなり早いし、退屈せんのですが、今挙げたポイント以外はこれといって注目する『ストーリー』は無いでしょう。しかしその根底にある、ジョージさんの怨念に近い、波動は並大抵のモノではないですね。

 本当によかったですね。そう花を捧げたい作品です。