『私の悲しみ』

先日、映画観た。沢山観たが、一本ずつ感想を。

『私の悲しみ』堀内博志監督作品。ユーロスペースにて。
総勢14人の男女の悲しみを描いた群像劇。
冒頭3分ほど音が出てなくて、スタッフさんにクレーム出して再上映。
最初の30分ぐらいは全然面白くなかった。というのは、被写体との距離である。
演出側というか我々の距離が全く掴めずふわふわしていたのだ。
群像劇はどこかしら俯瞰的になったり、冷たい視点で描く場合が多いのだが、
この映画の最初の30分ぐらいはその距離の取り方を迷っているように思えた。
しかし、物語をかきまわす「朋子」が登場した瞬間にこの距離がぐんと近くなる。
汗臭いほどに近くなる。14人全員と肩を組んで振り回す。
気付いたらどいつもこいつも悲しいのだけど、愛おしい。そんな映画になっていた。
監督さんがトークで「台本になぞって撮影はせずに、現場で色々変動させていった」
と仰っていたのだが、そのうねりがとても心地よかった。
14人全員がとてもすばらしかったのだけど、
個人的には先述した「朋子」(よこえとも子さん)と後に登場するもうひとりの「朋子」(小川仁美さん)の邂逅が
とても楽しかった。
またちょっと不気味でマイペースな会社員津田さんを演じた津田牧子さんの笑顔も悲しくて美しかった。


『私の悲しみ』公式HP
http://watashi-no-kanashimi.perfect-world.me/


作品と全然関係ないんだけど、東京の映画館って映写ミスに対する
謝罪がめっちゃ軽いですよね。
お客さんのわくわくをすごく削いでいるんだから、真摯に対応してほしい。
客としても表現者のひとりとしても。