マッチョなアキ・カウリスマキ

ル・アーヴルの靴みがき』を観て来た。

ハッピーエンドが売り文句らしいのだけれど、
それよりもハッピーに至るまでの人間対人間の声なき対話がすばらしい。
主人公の「泣くだけ損だ」という台詞の通り
現状を嘆くよりもなんとかしよう。誰かに助けを求めてみよう。
そういう態度がどんどん波及していく様が心地いいし、
「どうしよう、どうしよう」と苦しんだり悩んだりしている自分があほらしくなる。


昨年末からフリーランスで映像編集やら撮影やらやって来て
「うーん。こんなギャラではごはんが食べられない」
と苦しむことが多かったのだが、正直にそれをクライアント側に言えば
「なんとかしましょう」という動きになることが多かった。
(先日もあった)


そりゃ、もちろん。現実的に不可能なこともあるだろうけど。
現状に嘆いてばっかりじゃ、相手には不快な思いをさせるかもしれないし、
いいものも出来ないよ。ときちんと痛感させられた。


アキ監督敗者三部作では、ぐんぐん災難を受動してきた人たちが触れ合いで、
未来を補っていたような気がしていたが、今作は積極的に未来へ踏み出す人たちが
活き活きというかマッチョに描かれていたと思う。
それも全然汗臭くなくて、くすくす笑ってしまえる可愛さまである。


東京に来て、初のアキ・カウリスマキでしたが、ファーストデイということも
あってか満席満席。みんなとくすくす笑い合えていい空間でした。