あじさい

よめとあじさいを観に行く。
雨が降るかな。降らないや。へびが池を泳いでいて、僕はそれをおもしろがってしまう。
よめはこわがる。
手をつないで帰る。



「人生はクソで、そのクソを食べて生きている。それでも最低なことは、人を傷つけること」という台詞があった映画を思い出す。


見下したり、比べたり、持ち上げたり、全部が諭したり、批評したり、尊敬したり・・・そんなことの裏返しなのかも。
雑巾を水につけて絞れば、そりゃきれいになるかもしれないけれど、布だって痛む。

主人公夫婦はそれぞれが空回りだけど、痛みから目をそらしていないと思う。
奇妙な形で夫婦と関わる、『数学者』が「虚しさを感じることよりも、絶望することの方が勇気がいる」と言う。
虚しくなることも、絶望することも、痛いと感じたことから逃げているだけかもしれん。

ラストシーンはそうやって、絞り取られた者の静かで、壮絶で、ささやかな抵抗の姿。笑えもするし、ぎゅーっともなる。