怒りまくりぷーぷー

 姉退院。というか、無理矢理連れて帰って来たらしい。病院で暴れてばっかりだったらしい。帰って来てからも「遊びに行く」などとふざけたことを言っている。よほどショックだったのだろう。自暴自棄になっている。・・・フリをしているのがありありと分かる。本当に自暴自棄なら、そんな目立つように外に出ようとはしないだろう。消えてしまいたいなら、みんなが寝ている間に消えてしまえば邪魔も入るまい。やれやれ。
 
 と、仕事から帰ってくるとやはり目立つように外へ行こうとする。止める母。「自由にさせて」とわあわあ叫ぶ姉。姉は母や祖母に多大な借金を背負っている。まずはそれを返してからにしろと僕。「そんなん自由になってから返せる」あー。やはり相手にして欲しいんだな。でもこんなバカを相手にしてたら胸くそ悪いのでそれ専門の先生に治してもらうしかないだろう。

 昼前に皆の目を盗んで家に隠れる姉。母と父は逃亡したとして、探しに出て行くが、どう考えてもおかしい。あのブタみたいな体型でそんな素早く逃げれるわけがない。祖母と僕が残る家から「皆さんご苦労様」とほざきながら姉が出て来た。

 もうだめ。

 完全にキレた僕はとにかく姉を殺してしまう前に最後の理性を振り絞って母に電話。必死でひっぱる祖母を引きずり罵倒する姉。僕は姉の体を集会所のフェンスに押しつけ「そんな死にたいなら、今死ねよ。バカ
見え見えなんだよ構ってちゃんが!!おまえがそんな風にすることでどれだけおばあちゃんが痛い目に合ってんのか分からんのか!?」姉の反論「あたしが一番痛いもん!!」・・・アホか。誰もが自分が痛いと思うに決まってるだろが、お前は他人の痛みを感じて、自分の痛みにならんのか???


「もうええ。そんな死にたいなら死ね。ここで死ね。はよ死ね。できんから、そうやってフラフラしてんのやろが?死んだらな、今よりずっと痛いぞ」と僕。いや、自殺させねえ。僕がころしてやる。

 姉がマフラーで首をくくっている途中で母と父の車到着。僕は本当に最後の理性を振り絞って車の中に文字通り姉を投げ込んだ。

 イライラするのは嫌いだ。怒るのも嫌いだ。多分これが人間の本性でこれが消えない限り僕という人間は人間によって滅ぶだろう。そんでもってそれは絶対に消えない。和らいだことは何度もあるのだが、そうしていてくれた人は側にはいない。


 部屋に帰って、前に見つけたYの写真を見る。ほっぺたのあたりをなぞってみる。
 見えないからといってそこに無いとは限らない。レディオヘッドの曲にその逆のことを歌った曲もあるが。今は「ある」と思える。怒りも怒りたくないことも、いっぺんに僕の中に。
 それを全部抑えて笑ってくれたYのことを思えば、自己嫌悪に陥ると思っていたが、別段そうではなかった。一気に眠たくなったので、寝ることにした。夢の中で会えたらいいな。そしたら笑って話そう。そんできちんと謝ろう。