しかくかしきゃくか

十三人の刺客」を観に行く。シネコンであるが故に。日曜であるが故にか。「君に届け」客たちがいっぱい。
こちらはきみたちを斬りまくれな映画を待っているだけに、届け空気を汚していないか、ほんと申し訳ない。がんばれ多部ちゃん。


客層はやはりご年配の方々でみっしり。
内容は掴みからそのみっしりたちを吐き気に導く、三池監督世界。
こうやってかつて「妖怪大戦争」にて妖怪大好きっ子たちも恐怖のどん底へ引きずり込んだのだなあ。


しかしその三池ワールドもよい具合の味付けとしてストイックに引きとどめ、あくまでエンターティメントを貫き通していた。
言葉のわからない人でも理解できる、たましいを見事に震わせる静と動をあくまで映像による波と圧力で描き切っていた。


「告白」とは手法が対局にありながらも、どこか芯は同じ。そう思うと映画って不思議なものだ。


近年稀に見る、役者さんたちが誰一人欠けても完成し得なかっただろうと思う映画でもあった。
少し苦手な市村正親さんも、技術はすんごいのに、映像出演作に恵まれない松本幸四郎さんも、いつも「もっと巧く配役を!」と願う光石研さんも、皆とてもかがやいて、燃え散っていた。

中学生のころの自分に観せたかった。
きっと「みなごろし」には心を灰色に燃やされてしまっただろう。