なつ

 夕食中に祖母にこんな話しを聞いた。

 祖母がまだ子供だったころの夏の夕方。祖母は、線路を渡って家に帰る途中だった。と、四つ角から奇麗な浴衣を来た女性が出て来た。とても美しい顔だったのと、近所で見かけたことの無い顔だったので、夕涼みに外へ出ていた人たちは揃って

「きれいな人やなあ。どこの人かいね?」

と話しをしていた。

女性はそのまま駅の方へ歩いて行った。

 そして間もなく、汽笛が何回も響いた。駅の方で人の怒鳴り声が響き渡るので、祖母や夕涼みに出ていた人は駅の方へ向って行った。

 先ほどの女性が線路に身を投出し、汽車に轢き殺されたのだ。

 祖母の周囲の大人は口々に

「あのとき、話しかけたら、助けれてたかもなあ」

と悔やんだそうだ。


行き倒れるのとは違うのだろうけど、知らない人ばかりのところで自殺するのはどれだけ悲しいんだろうか?寂しいということには慣れてしまったとしても、取り憑かれてはいけないいな。と思った。

 最近、歯ぎしりがひどい。