「ミュンヘン」考
この間観た「ミュンヘン」について。今週末公開ですので、ネタバレは控えながら、雑な考えを。
まず、日本人で、僕らの世代には「実話」とは信じ難いバックボーンだろう。「失われた祖国」のためにどうして命を賭けることができるのか?
そもそも、国という概念は、日本人からはほとんど消え去っているのでは?
そして肝心なのが「無関係の命」を巻き添えにすること。僕はこれには怒りを通り越して、疑問だけしか残らない。
以上のような心の鎖のおかげで、奇妙な気分で全編観てしまった。後悔はないけれども。
それでも「おもしろかった」ということは確かだ。
妙に説教臭い台詞回しとありのまま過ぎる人体解体描写の対比。
それをどこか暖色な光で包む照明。
スパイアクション、サスペンスを含んだ「工作」の巧妙さの表現力。
「シンドラーのリスト」や「プライベート・ライアン」とは一線を画した作品であることは確かだろう。
ただ、やっぱりセックスの描写は下手だな。と思うし、照れくさいので、要らない。これは極私的映画価値観なのであんまり気にせずに。
役者の表情(顔のつくり)は素晴らしい。キャスティングスタッフは誉められるべき。僕は怪しき情報屋「ルイ」役の役者が良いと思う。
以上、感想メモでした。