キングコング

 おとといぐらいに一足早く観させていただいた「キングコング」について。ネタバレ軽く。

 円谷英二氏がオリジナルの今作品を活動写真で観て、特撮に目覚めたというエピソードを持ってくれば、いかにキングコングという題材が古典的作品であるかが分るだろう。何度かリメイクされているはずだが、僕が観た事がある「キングコング」は舞台を現代へと移行したものであり、所詮大猿に現代兵器にかなわんやろ。という子供ながらの突っ込みを持ってして観ていたのだった。

 で、今回の「キングコング」はオリジナルに沿った時代背景をきちんと組み立てている。時代は1930年代。場所はニューヨーク。ってな感じで物語は幕開ける。ここで当時の貧富の差であったり、映画業界(ショービズ)の描き方なんかがしつこい位細かく描かれて行く。はしょってしまえばいいのかもと思うのだが、後半この描写がキャラクターの心象を描くための立派な伏線になっているのは脚本力だろう。何より、このニューヨークがもう凄い。どうやったんだろう?列車まで走ってる。

 まあ、どうなってコングに出会うか・・・。ってところのエピソードを支える舞台となる髑髏島での冒険。これが映画の中核を成す。というのは、コングのみならず、恐竜、でっかい虫(これはもうピーター・ジャクソンの悪趣味爆発。虫嫌いの方は目を閉じましょう)のオンパレードで、あるシーンから殆ど台詞が消滅してしまう。このあるシーンがコングと売れない女優アンとの心の触れ合いになるんだけれども、もう言葉の敗北だ。と思った。僕はこのシーン観れただけで、もうお腹いっぱいなのに、無駄に細かいキャラ描写(本当に無駄と思えるぐらいいっぱい人が死ぬ)と、コングと恐竜の格闘を盛り込まれて目がぐるぐるです。

 盛り込み過ぎて合成がちょいとバレバレなのは意図的なのか?後半のニューヨーク市街戦ではもっと荒いのかなあ・・と不安になりましたが、ご安心を。クライマックスはどうやって仕込んだんだろうってニューヨークをどうやって動かしてんだよって位、コングが跳ね回ります。なんせ暴れ回るコングの体長がせいぜい7〜9メートルだから、ゴジラ特撮のようにミニチュアってわけにもいかんのだろうと思うし、本当そこで暴れているみたいなのだからたいしたもんだ。「ガメラ3」の渋谷戦をグレードアップした感じである。それでいて俯瞰の構図とかあって特撮本来の味である「箱庭感」も見事昇華してる。

 あんま怪獣おたくなコメントでもアレなんで、ヒロインのナオミ・ワッツが今年観た洋画で一番「キレイなお姉さん」でした。と締めくくります。

上映時間3時間30分。感覚では2時間くらい。