悪夢

 踏切の無い線路。ひっきりなしに汽車が往来しているので、僕はなかなか渡れない。ときどき汽車の前をタクシーが線路上を走っていて、汽車に追いつかれそうになると、線路から外れて、田んぼに飛び込んでいる。
 ついに、タクシー二台が汽車に追突され、向かい側から来た汽車に挟まれて大爆発。

 おそるおそる、線路を渡るとおそらくタクシーの運転手であろう。肉片が飛び散っている。黄色に焦げていて、匂いもする。焼き肉みたいな。
 そこへ救急車がやってきて、降りて来た救命士が「これは、繋げれんでえ」としつこく僕に叫ぶ。

 タクシーをはねた汽車に乗っていた乗客は別の汽車に乗せられ、何故か僕も乗せられる。しかし定員いっぱいの車内。それでも無理矢理、車外の取手に捕まらされて乗せられる。隣には3歳くらいの女の子が必死で汽車にしがみついている。
「危ないから、僕のズボンにつかまっとき」
と女の子を救う。
「落ちたら、あのおっちゃんみたいにバラバラになるん?」
と女の子。
「繋げてくれるわ」
と答える僕。
「無理やな」
と笑う女の子。
無理か。ようやく車内に入れるようになって、外を観ていると、クレヨンしんちゃんみたいな男の子が汽車と並走
していた。

 目が覚めてからも、あの肉の匂いがしているような気がした。