アラーム

バス停にていつもと違う時間でのバスを待つ。

 隣に座っているのは、中年の痩せた女性で、キティちゃんのサンダルを履いて、茶色のビニール袋をそのサンダルの間に挟んでおいてある。

 僕は文庫を取り出して読む。しばらくして、近くで大きなアラーム音が響く。音の元を探す。
と、女性が水色の目覚まし時計を抱えて何か呟いている。

 アラーム音は僕以外のバス停にいた人々が散るまで、鳴り響かされた。

 一瞬、茶色の袋が炸裂して、僕も一貫の終わりか。と思ったが違った。

 再び、文庫を読んでいると、女性は別のバスに乗り、帰って行った。いや、どこかに向ったのかもしれない。何もかもが僕には分らない。なのに色々想像してしまう。

 バスの中で、そのことを主題とした短編映画を思いついたのでメモしておいた。