明日発つ

　前評判はなかなかだったEP３。今ごろになって冷静な（いや熱狂的でもあるか）批判も出て来て、僕は
非常に楽しい。映画がこんな風に議論され検証されるのは監督冥利に尽きるってもんだ。

　僕の友人が旧三部作を今の技術で作り直して欲しいと言っていたが、昨日、テレビで「帝国の逆襲」を見て、作り直しなんてとんでもない。と思った。照明なんかもそうだが、だんだんやつれていくマーク・ハミルのメイクなどは当時の技術でしか出せない職人技のような気がする。小学生のとき、本当にルークがかわいそうに思った。「腕まで切られて、父を殺した相手と思っていた人が、実の父だなんて・・」言葉として考えていたのでなく、あのシャフトにしがみつき「ウソだー！！」「どうして黙っていたんだベン」と呟くルークの感情がしっかり心に絡み付いたのだ。

　まあ、はっきり言って未熟なヤツの考えそうなことで、悩んだってしょうがないんだけども・・・実際僕はガキそのものなんで、今でもその辺はグッとくるもんだ。

　「アナキンはちょっとわがまま過ぎる」っていうような意見も雑誌なんかで見る。実際あんなガキなヤツのせいで世界情勢変わるかよ。というような意見もごもっともなような気もするが、いるじゃん。ガキのようなヤツで世界情勢変えれるヤツ。

　大槻ケンジ氏がラジオで言っていたが、太平洋戦争末期、日本海軍は「潜竜隊」（文字間違ってたらすみません）なるものを組織しようとしていたという。これがまたガキみたいな発想で、海底にボンベも持たない兵士を潜ませて、敵船の舟底を長ーい槍に爆弾を括りつけて、つっつくという特攻部隊らしく、実際の訓練をさせてたくさんの青年が溺れ死んだらしい。哀しすぎて、笑えてしまう。死を直前に亡くなった青年たちはきっと「絶対アホだよ、日本て」て思っていただろうな。
　原子爆弾投下。ユダヤ人大虐殺。ベトナム戦争。地下鉄サリン事件。911。リアルは時々、その説得性をどこかに置き去りにして人間を飲み込んでしまうんだろう。

　てな具合に色々、思案をこねくり回させてくれただけでも、儲けもんだな。と思う。絶賛派も批判派も、そんな自分のスターウォーズ像にしがみついてたら、ジェダイになれないぜ。執着は暗黒面への入り口さ。

　明日、発ちます。フォースと共にあらんことを。ミスターブッシュ。