フォース

 SWEP3感想。ネタバレしまくり要注意です。おはなしを追って書いてみよう。

 冒頭。アナキンとオビの戦闘機が宇宙空間を進む。またしてもゆるーい冒頭シーンかと思えば、一転、凄まじい艦隊戦の中を2人はくぐり抜けて行く。この辺の気合いの入り方からして今回はひと味違う予感。

 いきなり出て来るグリーバス将軍。「何じゃこりゃ」と思うのは無理ない感じ。今にも「おしおきだべえ〜」って言いそうだ。またまたいきなり出て来る、ドゥーク伯爵。強い。ライトセイバー戦のタテも磨きがかかっている・・・。あ、死んだ。クリストファー無念。今回も最終章にて活躍無しか・・・。

 さてここまでのつかみは20分弱。バッチリ掴んでいるであろう。

 そこからはアナキンの苦悩を通してストーリーは進む。パドメの妊娠。そしてパドメの死の予知夢。ジェダイ評議会とパルパティーン議長との板挟み・・・・。
 何といっても秀逸な脚本力だと思ったのはパルパティーンの「モノは言いようだなあ」的、口説き文句だ
。「フォース全体を見渡し探求するためには、暗黒面を知ることも必要だ」「ジェダイの視野は狭い」などと次から次へとまあ、出て来る出て来る。さすがにアナキンはこれに議長がシスであることに気付くのだが、どうしてもパドメを救いたい・・・。
 皮肉にも、「ジェダイの視野が狭い」のは事実。アナキンがヨーダにパドメの未来予知について相談したときヨーダは「死も生の一環。親しきものをフォースに戻すことを喜べ」「喪失に対する執着はダークサイドへの道だ」と諭す。しかし、ジェダイであろうが何であろうが、失うことは恐ろしく。哀しいのだ。これはストーリーを飛ばすと、多数のジェダイジェダイ狩りで死に絶えていくのを苦しむヨーダや、アナキンを暗黒面に転生させてしまったと悲しむオビの姿に重ねられるではないか。苦しんで当たり前のことを禁じられて、方向を失うアナキンはシスを頼るしかなかったのではなかろうか。
 小説版「シスの復讐」ではヨーダクワイ=ガンと交信し、自らの「ジェダイの掟」に対する固執を深く悔やむシーンがある。人は愚かフォース自体も不変のモノでは無いと・・・。

 元に戻そう。ヨーダがウーキー(チューバッカはやっぱカワイイ)と共に分離主義者と戦い、オビがグリーバスを追いつめ、倒している(しつこく変なポーズとるオビは何かカワイイ)最中、ジェダイマスターメイスは、アナキンの報告を受けて、パルパティーンを倒しに向う。ついに牙を向くシディアス卿。その空中回転、意味あんの?と思う暇もなく、メイス以外のジェダイは殺されてしまう!!強い!!!しかし頑張るのはメイス。ライトセイバー格闘はシディアスと互角に渡りあえるみたいだ。ガラスがライトセイバーによって砕け散る瞬間は快感である。
 しかし、アナキンの阻止によりメイスは絶命。(電気びりびり)サミュエルってあっけなく死ぬの好きね。ついにダースベイダー誕生となる。
 ここから「ジェダイ狩り」が描かれるが、スターウォーズファンには痛々しいシーンの連続となる。ジェダイ聖堂を襲うクローン兵から身を隠していたジェダイの子供たちは、アナキンを頼る。しかしその手からは青白いライトセイバーの光が殺意を持って輝く・・・。必死で抵抗するも蜂の巣にされる青年ジェダイなど、「希望」が一つまた一つ消えて行く演出は見事だ。ヨーダ座頭市よろしく居合い抜きを披露し、ウーキーと共に危機を脱する。(このときウーキーの肩にヨーダが乗っかるのだが、これがまたカワイイ)

 共和国は銀河帝国へと変貌し、用無しとなった分離主義者はアナキンに抹殺。ヨーダはシディアス。オビはアナキンを討伐に向う。

 作品のクライマックス。交互に見せる、各々の死闘。名台詞「我が小さき緑色の友よ」(爆笑!)しかし、アナキンVSオビの戦いは壮絶でありながら、悲壮感が漂い続ける。それはおそらく「ルーク三部作」でルークはアナキンを救おうとしたことを我々は知っているからであろう。
 作品を通して、アナキンに暗黒面の影が出て来ると、「赤」が強調されているのだが、この対決でこの「赤」は燃えさかる溶岩となって噴出する。 
 戦いに敗れ、見るも無惨な姿に成り果てたアナキンに手を貸すことも、とどめを刺すこともできないオビの「弟だと思っていた!」という悲痛な叫びとそれに答える言葉が「あんたを憎む」であることに、どうしようも無い悲しみに襲われたのは僕だけでは無いだろう。

 そしてあの生命維持装置の登場。「スー・・・コー・・・」とあの音が出た時もやはり悲しみしか無かった・・・・。

 パドメの死。しつこいぞ!ジャージャー!!デススターの建設。ルークとレイアの離別。そしてあの二つの夕日を背にルークを抱く、2人の姿・・・・。この物語は続く・・・しかし我々は結末を知っている。だから悲劇でありながらもこれは「希望」の物語となっているのだ。この愛憎劇を甘ったるいと言う人も多いだろうが、この甘さを貫くことは難しいことなんだろうな。それでも親しき者、哀しき敵に、僕らはこう言おう
「フォースと共にあれ」