仲良くケンカしな

 ふらっと古着屋さんの前を通ると、クタクタのミリタリーシャツを発見。ディスプレイ商品だったため、店員さんに取ってもらう。すると、その下にマネキンに着せていたTシャツが「トムとジェリー」ではないか
。ふらっと「これも下さい」「え?でももしかしたらお客様には小さいかも」「いや、トムとジェリーなんで」「いいんですか?」「まあ、着れなかったら女の子にあげますよ」「あー。ありがとうございます」

 ウソ。絶対誰にもあげない。ナタリー・ポートマンが迫って来ても、ショーン・ペンジャック・ニコルソン連れて来ても、あげない。だって「トムとジェリー」だから。僕はガリガリくんなので、それにレディースのシャツは着れるのさ。と、家に帰って着てみたら、ちょっと袖口がキツいので、シャツをグニャグニャ引っ張って伸ばす。トムとジェリーの顔がグニャグニャなって、1人笑う。1人。あげる女子なんていない。仲良くケンカする相手も。

 ちょっと伸びたおかげで楽に着れるようになったTシャツを脱いで、畳んで、どっちがトムでどっちがジェリーだったかをよく知らないことに気がついた。