みじめ

 昨日ベンズさんと行った店にスケジュール帳を忘れたので、取りに行く。と、昨日のカワイイ店員さんが丁寧に対応してくれた。うきうきとその後、テスト試写「最後の恋のはじめ方」を見に行く。

 ウィルスミス演じるヒッチ(実は原題はこの主人公の名前)は恋愛コンサルタント。数々のモテない男性に助言をし、恋愛を成就させていく。そんな彼がある新聞記者に恋をして・・・。それじゃあ、主人公はヒュー・グラントだろう!!となってしまいそうだったが、ヒッチという男が「お金」第一で仕事をしているのではなく、人間を第一に仕事をしている。という設定が説明されていく内にすんなり感情移入できた。

 ヒッチは広告活動はせずにあくまでお客の口コミで依頼を受ける。そして、気にいった客としか取引をしない。彼のその基準は顧客であるその人の「情熱」である。「一回だけあの女としたい」などと言う客に対しては「うりゃ」っと腕を捻り上げて「2度と僕に近づくな」・・・ブラックジャックみてーだ。

 物語はヒッチがコンサルティングする男の恋愛成就への道と、ヒッチ自身の恋愛を中心に進む。ヒッチの的確な助言を元にしながら、中々自分を抑えられずアタフタしながらも相手に想いを伝えようとする男。何もかも計算し尽くして相手を自分の恋愛ペースに取り込むヒッチ。やがて、男の恋愛も成就しかけるのだが、まあそこは恋愛コメディの王道でご破算になりますわ。そして男はヒッチに相手の女性への想いが捨てきれないと吐露する。「例え彼女が、他の男とベットに入ってしまっても、それが彼女の幸せなら僕はそれでいい。僕が彼女への想いとしてあり続けるなら、そんなみじめなことでも何でも思ってみせる」

 ヒッチはそこで自分にもその「みじめ」さに憧れる想いがあることに気付くのだ。この辺の構造は素晴らしい。そしてこの「みじめ」の清涼感も新鮮だ。

 カワイイ店員さんにスケジュール帳を渡されたとき、一時の間があった。「どうしよう?一緒に遊びに行きたいな・・・でも、軽く流されたら嫌だな・・・みじめだよな」そんな風に考えた僕は、「ありがとう」と中身とは全然違う挨拶をして出て行ってしまった。先にこの映画を見ておけば良かった。みじめであれ、何であれ、その源が愛情であれば人は行動すべきなのかもしれない。

 でも、「最初のデートはキスしたらアカン」だって。「つまんねー」と思う人。「ふむふむ」とメモをとる人。両方共、この映画を見ましょう。おもしろいことになるよ。