たばこと毒と

 映画出演。夜ロケ。主役ちゃんの車で移動中、あれやこれや聞かれる。でも聞きたくもないことが飛び出しそうだったので、煙にまいておいた。今は彼氏の事が大好きで楽しくてしょうがなくて、それをもっともっと良くしたいというのがよくわかる。

 さてちょっと論争になったのが「一目惚れはあるか無いか」であった。僕は断然「無い」で、主役ちゃんは「ある」だ。どうやら一目惚れする時はオーラが違うらしい。残念ながら僕は「ハンター×ハンター」は読んでも『念』は習得してないので、オーラが見えない。
 というか一目惚れなんてのは危険極まりないのでは?あ、いや面白くないのでは?と思う。恋愛というのは決してお互いがつき合うから完成するわけでもなく、僕の中では「このコ僕のこと気にしてんのかな?」
「僕ってもしかして、このコ好き?」と漂うところに醍醐味があるような気もする。だからスパーっとおいしいドロップを飲み込んでも「おいしい」のだろうか?と。
 あとね、性行為。結局ここに辿り付くものだから一目惚れなんてされたものなら、一直線にそこに向ってもいいんだろう?とかいう無茶な解釈を持ち合わせた輩もいるわけで。そのいざこざで命を落とすこともあるんだわ。命短し、恋せよ乙女。でもね、そんな短くはないんだから、もっとよく見ようよ、相手を。

 と、お説教しようかなと思ったけど、楽しそうなので言わないでおいた。結論は僕が鈍感ということにしておいた。これはこれで間違っていません。

 最後にタバコを吸うシーンを撮影。毒としかいいようのない味。そういやはじめてセックスしたときもそんな風に思ったな。旨味に思えるには時間がかからなかった。主役ちゃんは?その彼氏はどうなんだろう?
旨味になってるんだったら、世界中のそんな気分に浸っている人の関係をブチ壊してしまいたい。そう思ったのはタバコのせいにしておこう。

 バイトの採用電話が来ない。