戦争

 「ローレライ」を見て来た。ストーリーに添っての感想。ネタバレ注意。

 オープニング。やはり潜水艦の映画。海からです。つかみも分かりやすい。

 原爆投下から・・・おっといきなり役所広司登場。おっといきなり潜水艦乗ってる。テンポいいね。僕は「準備」するシーンとか好きなのだが、それでは蛇足になってしまうんだろうな。日本人の軍人テンポでは。

 さてさて、早々の戦闘。ローレライシステム起動。ローレライシステムの謎を握る。石黒賢演じる軍技師は中々いいバランスだ。

 そのローレライシステム。別に魚雷を誘導するんじゃないのね。本当に「見えるんだ」モニターにも出るし。その辺はリアルだな。「便利やな」って思ってしまう所もキチンと描いてるし、潜水艦と駆逐艦の駆け引きもおもしろい。ぐいぐい引っ張ります。

 謎の少女パウラの正体が明らかに。この辺は漫画チックだが、やはりバランスいいのは「原爆が迫っている」設定とか陸での騒動を伏線でウマい具合に散りばめているからだろうか。でもパウラの包帯コスプレ・・・そりゃあんた「フィフス・エレメント」やがな!!鼻血ぶー。

 パウラと妻夫木くんのなごやかなシーン。長崎を思い浮かべるシーンはこれからの悲劇を思うと胸が痛くなります。そして、長崎原爆投下の描き方。これも素晴らしい。パウラの正体と悲しさ、そして戦争の恐ろしさをまとめて映像化できてる。

 ここで大どんでん返し!!!あー!!そう来たか!!!うん、面白い。さらに「戦争」というしんどさを圧縮させてるし、絶対樋口さんは「沈黙の艦隊」を読んでる!!まあ、そりゃそうか。しかし、原爆を止める任務が、それを促す任務だったというカタルシスはいい。ここで役所広司もまた響いて来る。ピエール瀧よ。あんたおいし過ぎだよ。

 そして、いざ東京原爆投下阻止へ!この辺の結束の仕もいいよな。原爆投下シュミレーションも樋口イズムが出ています。恐ろしい・・。

 様々な苦難。いかにパウラの負担を和らげるか?この作戦も「沈黙〜」っぽい。でも、敢えて爆発を抑えて、闘う。このスマートさと、アメリ駆逐艦の新型爆雷と魚雷の嵐の対照的な描き方もウマいな。そうそう佐藤くん(妻夫木くん友だち乗組員)アンタそりゃアンタが悪いよ。なんだか死なせるための筋書きでちょっと興ざめした。そこまでは「死」というものをその歴史の向こう側にあるものとして描いていれただけギャップがあって・・・。でもこういう事故もあるんだね。哀しい・・。

 わちゃー。大ピンチ!!そこでやっぱりギバたんですか。あ、やっぱり。でも、副長いなかったらしんどいよ。展開読めたんで、あんま応援できんかった。

 そしていよいよ大詰め。キター!!!!ピエール瀧!!!ドカーん!!!!!ザマみろヤンキーども!!!と熱くなれるクライマックス。潜らずに決着を着けて「ニッポンへ帰還する!」のセリフがイカす!
椿三十郎の「あばよ」に匹敵するよ。

 ラスト。まあこれも展開読めたけどね。砂浜の光景でフッと終るのは気持ちいい。「はだしのゲン」を読みまくった僕としては、非常に戦争への思いが共感できました。闘うと奪うの違い。守ると逃げるの違い。あの地獄のような時代にもそれを分かっていた兵士はいたんだろうな。そういう人のおかげで僕らは生きていられるんだ。