スピッツ

 スピッツのニューアルバム「スーベニア」。タイトルからしていい。「おみやげ」という意味らしい。

 中学生のころちょうど十年くらい前に、ヒットしだした、彼ら。僕は当時音楽すら興味無かったのでどうでもよかった。音楽の授業で「空も飛べるはず」を歌わされていたのを思い出す。むずかしい(歌うのが)「隠したナイフ」とか「幼い微熱」なんだかメロディーとはかけ離れた影をもった詞が印象的だった。

 高校生。初めて彼女が出来た頃「運命の人」が発売。完全にツボにはまった。キラキラしたモノの「きらきら」をつかみながら、その輝きに含まれた影も見逃さない。そしてそれすらもキラキラした歌に変えてしまう。これってすごいロック。いやパンクなのかも知れない。

 「さよなら」が決別のためにある言葉ではないことを僕に叩き付けた「楓」。どうしたって思い通りに事は運ばないし、別れたくない時でも「さよなら」を言わなきゃいけない。そんな時に歌というものは必要であり、キラキラ輝くんだろう。「どこまで届くだろう?」という不安。それでも想う人の声を抱いて歩いて行く。きっと決別より苦しいだろうけど、歩くことは止めたくない。

 「スーベニア」にもたくさん歩く、走る、前進の言葉が詰め込まれている。このお土産のいいところはその時々に立ち止まって、寝転がっても楽しいということを歌ってくれていることだ。そうしていると、また歩きたくなる。誰かに会いたくなる。

 ほんと日本にこんなバンドいてくれて良かった。