初めてメル友(恥ずかしい響きだな)と会って、遊ぶ。メールの文から読み取れた通り、明るくてちょっと変で、素敵な女性だった。


 人気のない動物園をゆっくり回り、ラーメンを食べて、ちょっと遠い海へ行き、彼女はベンチの隙間にケータイを落として、本気で慌てていた。ケータイを無事保護し裸足で砂浜へ。戻ってベンチでダラダラと話す。天気がいいので二人とも薄着で、彼女はふざけて、自分のマフラーの毛玉を僕のジャージにくっつけ出す。

 駅ビルへ彼女を送り、CD屋を冷やかして、お茶を飲んで、時間ぎりぎりで列車に乗る彼女を見送る。改札口で挨拶。少し離れて、もう一度手を振る。

 たいてい人と遊ぶときでも、よそごとを考えたり、気にしたり(色々ね)するが、今日一日は遊ぶ事だけ考えていられた。たった一つ別のことを考えたのは「また遊びたいなあ」ということだ。

 色んな人を乗せた車も明後日には廃車。次の車にはもっと楽しい思い出が乗りますように。

動物園の入り口でクリスマスのねがいごとを紙に書いてツリーに貼付けた。
「戦争が映画の中だけになりますように。そしてその映画は僕が作る」
ほんとう、そうなればいい。彼女のねがいごともそうなればいいよな。と思えることだった。