ミーのカー

 車を飼うことにした。新車で。スバルのプレオという軽自動車。ミッション仕様にしてもらった。2年のローンを組んだ。何から何まで「試練」のようだが、まさにそのつもりだ。僕は車というものをもっと経験しなければいけない。瞬時の判断から、長い目での判断までを養いたい。


 二ヶ月振りに映画館へ。前のバイト先だ。見る映画は「オールドボーイ」15年間監禁された男がその理由を探るという韓国映画だ。内容の多くは語れないが「負けた」感の強い映画だ。テンションはすごく高いのに。

 見終わって、トボトボ帰りながらYが売店で働いているのを見つける。声は掛けず10日以内には廃車になる車へ向う。元気そうで、相変わらず不思議なイントネーションのYの声が耳に残る。
「もしかしたら、Yとの関わりを断ちたいだけでおまえを捨てるのかもな。お前はそれでも走るだけ。僕は都合を合わせていいわけを考えるだけ」
とハンドルに話しかける。
 車もYも元気そうで何よりだ。