曽我部恵一さんのMVをつくりました。

ご無沙汰しております。

『大風呂屋エイジ』の河津町での上映も無事終わり、どたばたしておりました。
何に?そう。これに。

曽我部恵一さんの新曲『バカばっかり』MV 『海子と馬鹿者たち』の監督と脚本をしていたのです。

四の五の言わずに聴いて踊ってください。

収録アルバムはこちら『超越的漫画』のラストナンバーです。
このアルバム、サンプルを聴かせていただきましたが、キレキレです。

超越的漫画

超越的漫画

新作映画上映のおしらせ

今年のはじめに撮影した監督作品『ハアドボイルド漫談師 大風呂屋エイジ 〜河津桜よ永遠に〜』がロケ地である静岡県河津町で上映されます!

会場:静岡県河津町バガテル公園
9/28(土)19:00〜
9/29(日)①13:00〜 ②17:30〜
出演:ヒデ(ペナルティ)、前野朋哉、古泉葵
   田中涼子、クラ、中村亜耶斗、飯田亮子、カズ&アイ、川村エミコ(たんぽぽ)…そして主役である河津町のみなさん!

予告編



ヒデさんと、河津町のみなさんと、東京のみなさんと、本気で面白い映画作りました。そして沖縄国際映画祭に「笑いの嵐」を起こしました!
今度は河津の笑いのバスタブをハアドにボイルしてやるぜ。

よしもとお笑いライブ&映画上映(同時上映は池田千尋監督作品、静岡県浜松町が舞台の『とんねるらんでぶー』です)
監督、出演者舞台挨拶もあります!

9/28(土)19時〜 
   出演者:くまだまさし、カズ&アイ、クレオパトラ

9/29(日)13時〜 
   出演者:八木真澄、カズ&アイ、クレオパトラ

9/29(日)17時30分〜
   出演者:ヒデ(ペナルティ)、八木真澄、カズ&アイ、
       クレオパトラ

入場料:前売り2000円 小中学生・1000円
    当日 2300円 小中学生・1300円

チケット販売所:
    河津バガテル公園 0558−34−2200
    河津町商工会 0558−34−0821
    河津町観光協会 0558−32−0290 

ゾンビと人

久しぶりにこちらに。
とういうのも先程『ワールドウォーZ』を観て来て愕然としているからだ。
ネタバレも恐れず書くので、映画の結末経緯などを知らずに楽しみたい方は飛ばしてほしい。


まず原作はこれ。上・下巻の文庫版をオススメする。マックス・ブルックス著の所謂モキュメンタリー小説である。

WORLD WAR Z(上) (文春文庫)

WORLD WAR Z(上) (文春文庫)

アジア地方を発端に増殖した人を喰らい襲う「不死者」たち。それらの脅威は人間社会を転覆寸前まで追い込む。
辛くも「勝利」した人類たち。彼らの証言に耳を傾けながら、ゾンビ大戦とは何だったのか?を抉り出す傑作である。
傑作である理由は、まぁ面白いこと。
もっと穿り返せば、ゾンビ大戦中の世界というのは、何の事はない、今現在我々が暮らしている社会そのものなのだ。


金のために、感染者を亡命させる業者
金のために、感染者の臓器を移植する闇医者(といってもブラジルでは相当の地位を持っていて、警察は抵抗できない)
奇妙な大義名分を抱える大国は自国の責任を逃れるために、未感染国にゾンビの血液をばらまく
自分、自分、自分、
ニンゲンは自分だけのために、自分たちの首をしめている。
それを非常に面白く紐解いている。


で、映画だが。ブラッド・ピットが原作の映画化権を獲得し、映画化したもの。
原作が様々な主観で描かれるのとは一転して、元国連調査員ジェリーが原因不明のゾンビ増殖現象の究明に世界を駆ける物語となっている。
ゾンビたちの立ち振る舞い、その増殖の猛スピード。何気ない日常にすううっと差し込んでくるそれらの恐怖。これらのビジュアル化は凄まじい。
マーク・フォスター監督の「眼差し」に特化した演出はさすがである。


しかし、あまりにも脚本がお粗末である。
「ゾンビ」の究明に駆けるという押し出しは悪くは無いと思う。誰もが匙を投げ出す状況で「治療」「回避」を探る勇気は描く意義があるし、グッとくる。


しかしそれに奔走する主人公へのしかかる事象、事情がルーティーンすぎやしないか?
基本的にはこれの繰り返し。辿り着く、ゾンビがいる、やばいやばい、生き残りが助けてくれる、どうしようか?あそこに行こう、よし行こう、ガチャーン(もしくは携帯プルルルル)、わぁ大変だゾンビが音に寄ってきた、すごい量だ!無理無理無理!、場面転換、主人公の奥さん「あなた…電話に出て」(お前が電話かけるからだろーが!いや、電話渡す方が悪い!)

そしてあまりにも地味過ぎる、3人メタルギアソリッド状態の研究所探検クライマックス。いや、100歩譲って地味で退屈なのは譲ろう。勇気振り絞っただけで、「ウィルス」が丁度いい具合に効きましたー。ってアホか。そりゃ現実にはそんなこともあるでしょう。でもね。これフィクションですよね。敢えてそうしたんですよね。勇気を振り絞る姿は美しい。それがテーマなんでしょうかね?いや、それでもいいですよ。でも、そう感じなかったよ。どうすんのさ。
せめてジェリーの家族想いや、人を思いやる気持ち、そこから来る行動が何かその特定のきっかけになるとか。
下手したら、家族は愚か人類が一瞬で滅びてしまう。とか。
枷なり、伏線なりを工夫しておくれよ。
観ている最中感じた事は「おっさん!いい加減に物音にきをつけてくれよな!何回もの音たてるんだよ!ころすぞ!」ってこと。
奇しくも映画を観ている最中、隣のおじさんは自分の噛んでいるガムの包み紙をきしゃきしゃこねくり回していて、実在の人物にもそう思っていたので、これは案外気持ちがライドした。
って、それではあかんでしょう。


仄かに終戦というか開戦を示すラスト。これも全然気持ちがノレナイ。


原作では世界各地での軍事責任者があるプランを実行する。「レデカー・プラン」である。
これは端的に言うと、生き残りたければ、人類の何%かは切り捨てる。切り捨てのニンゲンは囮、ゾンビ選別などなどの為に「利用」すること…という計画である。
これらと地道な労働(武器、食料確保などなど)を重ねて、人類は辛くも「勝利」する。
しかし証言者たちの生々しい経験談から我々読者は感じる。
「果たして、それは『勝利』なのか?目の前には切り捨てた友の屍がある。横たわっているのではなく、歩いているのだ。自分の肉を求めて。それを断つために、我々はまた武器を手に取る」
そして反面『勝利』の意義も感じる「産まれてくる子供たちに『敗北』だけの未来をみせていいのか。示すべきは、困難に打ち勝てることができるニンゲンの意志ではないのか?友の屍に、恋人を食い殺されるのを待つ未来などまっぴらだ」
これらの葛藤が未だ起こるとは思えない荒唐無稽な未来像からまさに眼前に迫る迫力と美しさで押し寄せてくるこの感情。


これらの感情を持たせるものがこの映画には無い。言い切る。無い。



推察だけで書くのは嫌だが、かつては仲間だったものが襲いかかってくる。考える時間もない。そんな不安を感じる人間よりも、
「うーうー」呻いて襲いかかってくるだけの得体の知れないバケモノをたんとだせば「ホラーファン」「ゾンビ好き」は喜ぶんだろ?
と鮨でもつまみながら、脚本や編集まで製作陣が手を加えまくったとしか思えない。

ぼくはブラッド・ピットの出ている映画がすきだ。
マーク・フォスター監督の映画もすきだ。
なぜなら、
彼らはきっと自分だけでなく、自分たちのことを考えること。それこそが世界の首をしめずに、弱っているひとたちに手を差し伸べることができる。(『ネバーランド』を観て思った)
ほんとうのくそやろうとは何なのか?示してやろうぜ!この手で(『イングロリアル・バスターズ』を観て思った)
と思っているひとたちに違いないからだ。
彼らがこんな素晴らしい原作を手にしたのに。こんなかなしい結果になってしまったなんて、
ほんとにかなしい。
看過できない。
だから長々と書いてしまった。すみません。でも、ばっかやろーい!

吸収の時期

もう、五月も終わり。

色々吸収の時期。
自主ベースの映画もたくさん観たが。色々おもうこと有り過ぎて。ううむ。

頭に残るは『リンカーン


いろいろ読んで、聴きました。


七夜物語(上)

七夜物語(上)

挿絵もたのしく、かわいく、あほらしく、でも大切なことを丁寧に描いた長編。川上弘美さんの長編苦手だったのだけれど、これは止まらなかった。


Fade

Fade

すごくいい。いいな。いい。いいよ。いいんだ。


吸収の時期。ですな。

おきなわ3日目。そうごうかんそう

3日目。


はたはたと、またホテルを駆け抜け、朝食へ。おかくんも、衣裳のまやさんも、息子のたおくんもごはんを食べていたので、一緒にたべる。
ふと、むこうにはジャルジャルさんがいはるではないか。はあかっこええのう。


と上映二回目の会場は桜坂劇場なのだが、その前に昨夜一緒に呑んだ宮崎県のみなさんの映画『ウミスズめし』香川県の『MG2416』を観なければと、コンベンションセンターへ。
河津町のみなさんも同じ思いだったようで見終わったあとは一緒に桜坂劇場へ。

とてもおしゃれでいい雰囲気な劇場。


控え室でヒデさんとまた再会。「メール届いた?監督」「いーや、届いてませんね」などと2月から続いているメール届かない問題を解決するヒデさんと私たちをよそに、
てきぱきと用意をする河津町のみなさん。


桜坂劇場はなんとほぼ満員。前列ではヒデさんのファンの方だろうか、とてもきらきらしたお顔で舞台を観て下さっている方がいた。


さすがに満員では入り難いな。と舞台挨拶を終えてロビーでぼんやりしていたら、地域発信型映画の総合プロデューサーが「監督、観ましょう」とひっぱってくださった。
せっかくなので前述したファンの方の隣で観賞。
笑って、泣いて、また笑って。なんてあたたかいお客さんたちなんだろう。
上映が終わった瞬間「はー。泣けたねぇ」という声が聞こえて、恥ずかしくなり逃げ出して、劇場内のカフェでチーズケーキを喰ってしまった。



それからはすぐに飛行機で東京に戻ったのだけれど。
ここで地域発信型映画の感想まとめなど。

作品情報一覧はここにhttp://oimf.jp/jp/program/local_movie.php

『いなべ』(深田晃司監督)
どこまでもつづく田園風景を駆け抜ける自転車。
同じ風景をゆっくり歩く姉と弟。
どこかうわの空の会話。
滑り続けるコミュニケーションたち。
さすが深田監督。い、意味がわからないけれど、わかってくる「こわい」と「愛おしい」が凄まじい!
生きること死ぬこと、居ることいないこと、どれだけ何を辿っても夜は来る。そんな細く冷たい針金が背中にゆっくり差し込まれて行く。これは絶望か。希望か。



『MG-2416』(谷口仁則監督)
僕はとっても兵動大樹さんが好き。
NGKで爆笑したあの漫才は忘れられない。ホテルのエレベーターでご一緒したときに思い切って握手していただいたときは「人見知り芸人」だけあって、とても紳士で真摯にお話してくださいました。それくらいファンな僕が言うので偏ってしまいますが…勿体ない!!
ツッコミ不要な映像とキャラクターの応酬に兵動さんの呼吸がとても苦しそうだった…。
また映像の加工具合とか、アレやこれやのオマージュなどサービス精神旺盛なのは楽しいところもあるのだけれど…
作者の映像への憧れは観客にとって時に、苦痛でしかないこともある。楽しいとは「真剣では無い」ということではないのだ。



『新見的おとぎばなし』(ハセガワアユム監督)
とってもオーソドックスなおはなし。
冒頭とラスカットがきゅっと結ばれていていい後味。
幻想的な風景と雪がいやらしくなく、ヒロインの江頭ゆいさんを彩っていてきれいでした。
全員あほであることの魅力。
全員ばかであることの愛おしさ。
坂田師匠の周りにはひとを侮蔑しないあほとばかたちが集まるのだなぁ。



『レトロの愛情』(岡太地監督)
親に苦い想い出を持つものには非常にいい気持ちの映画だった。
ヒロインの女の人の叫び声は10代のころ常にさけんでいたきもちだったし、
ラストの馬場さんが思い浮かべた情景は、あのころの僕に見せたい情景と「味」だった。
記憶は傷に、傷は憎しみに、憎しみは愛情に、愛情は記憶に。きっと戻ってくる。現実に取り戻せなくても。



『ウミスズめし』(中島良監督)
計算を感じさせないテンポのいい会話。
これはまさに「岸和田〜」な感じではないですか!と中島監督に問いつめると、監督はにやりと笑っていました。
もっと乱暴でもよかったのかもしれないけれど、ヒロインの青島あきなさんはとってもキュート。
彼女の一言一言にはいちいちおなかが空くし、彼女の食べ方には間違いなく愛があった。(唯一泣いた作品でした)



全ての作品を観て、もちろん地域そのものの味もいいし、主演の芸人さんも素晴らしいのだけれど、ヒロイン。ヒロインは全て良かったのではないでしょうか。
『MG-2416』はヒロイン不在…?

倉田あみさん、江頭ゆいさん、肘井美佳さん、青島あきなさん、そんでもって我らが『大風呂屋エイジ』のヒロイン・古泉葵さん。
全員素晴らしかった。


というわけで沖縄国際映画祭の完成だけで終わるわけではありません。そうはいきません。必ず皆さんに見せられるようがんばりますので。お待ち下さいませ。

おきなわ2日目

2日目というか、北九州組との飲み会から1時間後にホテルの朝食バイキングへ。
ひろーい、しずかーな通路を抜けて、おおきな朝食会場へ。なんだかシャイニングな気分。


食べて少し眠って、おかくん、衣裳のまやさん、深田晃司監督、プロデューサーの戸山さんと国際通りの路地をうろつき、ステーキを食べる。
猫が多い。首輪もつけているがどこにも属していない猫たち。

僕は別会場で舞台挨拶があるので、そこへ向かう。
集う河津町岡山県新見市のみなさん。
ペナルティのヒデさんも到着して、きゃあきゃあ騒ぐ。


かなり客席が詰まった会場の最前列で作品を観ることに。隣のヒデさんが俯きながら「緊張する。どうしよう」と囁いた。


上映開始。漫談師エイジが河津町に登場した瞬間から笑いが起き、成功を確信した。
あとは小声でヒデさんと色々な場面を解説しあう楽しみが待っていた。


新見チームの『新見的おとぎばなし』も坂田師匠の全力芝居とヒロイン江頭ゆいさんの可愛らしさが炸裂して、オチにも大爆笑。


最後にお客様の前で舞台挨拶。


ヒデさんはハアドスケジュールの為、会場を後にしたが、すぐにお電話を下さった。
ヒロイン巴の友人「あいみ」を演じた河津町の現役中学生の飯田亮子さんとお姉さんの祥子さんが、沖縄国際映画祭のTシャツをプレゼントしてくれた。うれしい。


そして夕方には岡監督『レトロの愛情』深田監督『いなべ』を観賞。
これらはまた後日感想をまとめたい。濃い1時間であった。


その後は宮崎県、岡山県三重県静岡県チームでどんちゃん騒ぎ。
しかし、映画の作り方、広め方をしっかり話し合い共有していた。
語弊があるとアレなんだけど、だいたい上映後の飲み会は愚痴が多いのだけれど、
今回はそんなこと無かった。
「どうしたらいいかわかんないです・・・」と言っていた河津町の人たちが「ああしよう」「こうしよう」と話している。
これがひとつの完成だと感じた。


夜中は北九州組と合流し、各地域の監督たちが集合。映画論に展開かと思ったが、北九州の住みます芸人、ぶんぶん丸のやまださん相手に『30年後のドラえもん』というエチュードをする始末でした。



おきなわ1にちめ

3/23

静岡県河津町のみなさんと作った最新作『ハアドボイルド漫談師 大風呂屋エイジ ー河津桜よ永遠にー』のワールドプレミア上映の為に沖縄国際映画祭へ行ってきた。
飛行機、朝の便で沖縄に到着。
タクシーに乗ってホテル→レッドカーペット会場へ。


広ーいホールが待合室。ということで河津町の皆さんとふぅーと休んでいたら、どばーっとお笑い芸人の方が入ってきた。
「え?一緒の『楽屋』なの…」という驚きとよろこび。


河津桜まつりのピンク色のはっぴを皆で着込んで、いざレッドカーペットへ。
たくさんのお客様の声援を浴びてあるく赤い絨毯。照れくさいけど、やっぱりうれしいな。


オープニングセレモニーは吉本興行さんらしいユニークで楽しいものだった。
僕らの席の側にはたくさんお笑い芸人さんがいらっしゃったが、何もかも楽しもうという雰囲気が心地よかった。



それからそれから、パーティー
あの人やらこの人やらたくさん色々なひと。
でも僕は地域振興映画の他作品監督さんたちと色々話せたことが嬉しかった。



最後にはTHE BOOMによる『島唄』生演奏。
か、かっこいい…
全部かっこいいけど、ベースが凄まじい。


素晴らしい余韻を味わいつつ、ホテルへ戻り、おかくん率いる門司港軍団と朝5時まで色々話した。
いよいよ『大風呂屋エイジ』上映が近づく…

つづく